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天子と霖之助のとある一日

10月4日は天子の日!

記念にSS書いてみた。

天子と霖之助ですがどうか。
「ん……」

 いつものように目を覚ますと、鼻につくいい匂いがする。
 誰かが来ているのだろうか。
 そんなことを思いながら、体を起こすと、

「あ、霖之助。起きたの?」

 そこには、エプロンをしておたまを持っている天子の姿があった。
 色々と考えたが、まだ寝起きで考えが纏まらない。

「天子がどうして僕の店にいるんだい?」

 考えるより、口に出して聞いていた。

「そりゃ、ほら、あれよ。いつも霖之助にはお世話になってるというかなんていうか……」

 顔を少し赤く染めて、ボソボソと天子は言う。
 そんな反応をする天子を僕は微笑ましく見た。

「むっ、なんでそんなニヤニヤしてるのよ」

 それに気づいた天子はジト目で僕を見る。

「別にしていないさ」

 嘘をつく理由はないのだが、僕はしらばっくれる感じで言った。

「してる」
「してない」
「してるってば」
「してないと言ってるだろ」

 押し問答が続いていると、鍋が喧嘩はやめろと言わんばかりに噴き出す。

「ああっ! もう、霖之助のせいなんだからね!」

 まるで捨て台詞を残すかのように、人差し指で僕を指し、天子は鍋の元へとパタパタと駆けて行った。

「なんだかなぁ……」

 そんな姿を見ながら僕はそう呟いた。





 いい匂いが僕の鼻を刺激する。
 目の前の机には、ご飯、みそ汁、焼き魚、漬物と一般的な朝食のメニューが並んでいた。

「はい、霖之助。箸」
「ああ、すまないね」

 箸を受け取り、両手を合わせて。

「「いただきます」」

 僕と天子は同時に言い、朝食を食べることにした。
 まずは、みそ汁を飲んでみる。えのきと豆腐の味が白みそに合っており、おいしい。
 ご飯も固くなく、柔らかくもなく、丁度良い固さで食べやすい。
 魚にとっても、塩味が僕好みでついておりおいしい。
 浅漬けなのだろう、さっぱりとしており、これもおいしい。
 評価としては問題なく、おいしいということだ。

 そんなことを思いながら、僕は天子のほうを見てみる。
 骨をしっかりと避け、身だけをしっかりと残さず食べている。
 みそ汁に手を付けて飲もうとしたときにこちらと視線がぶつかった。

「何よ。何か私に付いてる?」

 みそ汁の器に口を付けて、飲もうとしているところで天子は言った。

「いや、天子は料理出来たのかと疑問に思ってしまってね」
「ふん。私だって料理くらい出来るわよ」

 そういって天子はみそ汁をずずっと一口啜る。

「いやなに、僕には料理は苦手そうなイメージがあってね」
「そういうの、先入観っていうのよね」

 気に障ったのか少し不機嫌そうな感じになる。

「イメージはイメージさ。今拭われたよ。普通においしいよ」

 ただ食べて、感じた感想をそのまま述べてみると、天子はそっぽを向いて、「ありがと」と一言そう言った。


「ごちそうさまでした」
「お粗末さま」
 
 ほどなくして食べ終わり、片づけようとすると天子がそれを制止させる。

「ああ、私がやっておくから置いておいて」
「いや、自分のくらい自分で片付けるよ」
「駄目。私がやるから置いておいてよ」
「いいよ、これくらいは自分でする」
「む?、なら洗うのは私がやるから霖之助は置いておくだけでいいわ」
「……ふぅ、分かったよ。ありがたく甘えさせてもらうよ」

 また、押し問答になりかねなかったので、こちらが折れるしかない。
 カチャリと食器を洗面台のところに置き、その辺に置いてある本を手に取る。

「なら、僕は店番をしているから終わったら店のほうに来てくれ」
「んー、分かったー」

 じゃぶじゃぶと泡を立て、食器を洗っている天子を見ながら、僕は店の定位置へと移動をすることにした。

 
 本を読んでいても、なぜか集中出来ない。
 その理由はただ一つ。天子のことである。
 なぜ、天子は今日に限り、家事をしているのか分からない。
 今も洗濯をして、外に干している。

「天人も家事をするのか」

 てっきり、お手伝いか何かが居てそれに全部任せているものだと思っていた。
 もしかして、嫁入り修行とかだろうか……。
 いやいや、それならなぜ僕の家でやる必要がある。
 修行する場所ならまだ他にもあるはずだ。無理にここに来る必要はない。
 あーだこーだと考えているうちに、天子が洗濯から戻ってきていた。

「霖之助。買い物に行くわよ」
「はい?」

 買い物? はて、僕の家にはまだ食料はあったはずだが。

「もう残りも少ないし、買いに行かないと晩御飯も作れないわよ」

 心を読んだのだろうか、天子が僕の思っていたことの答えを口に出していた。

「そうか。なら、一緒に行かせてもらおうかな」
「そうこなくっちゃね」

 そういって、僕の手を掴み、店の外へと引っ張り出される。

「ちょ、ちょっと待った! まだ、財布とか準備が終わってな――」

 財布はまだ家の中だろうし、準備だって終わってない。
 天子はにっこり微笑んで、ポケットの中からあるものを出す。

「なっ!? それは僕のさい――」
「今日は私が霖之助の財布を握ってあげるわ」

 そんな理不尽なことがあるわけないだろう。

「まあまあ、細かいことはきにしなーい。ちゃっちゃと行くわよ。霖之助」
 
 我が道突き進むかのように僕の手を握りながら人里へと向かう天子。
 やれやれ、これは言っても聞かないだろうな。
 半ば諦めて、天子の歩幅に合わせ、人里に向かうこととなった。



 人里の商店街はいつも大勢の人で賑わっている。

「へい、らっしゃいらっしゃい。今日は秋刀魚が安いよ!」
「今日はトマトが六つで300円。そのほかの野菜もどれもお値打ちだよ!」

 魚屋、肉屋、八百屋など、この商店街には活気が溢れている。

「うわぁ、ここが商店街なのね」
 
 天子は感動しているのか、きょろきょろと周りを見渡している。

「天子は初めてなのかい?」
「うん! だって、いつもは天界で用意されるもの」

 すごく嬉しそうな顔をしている。
 よほど、買い物を出来るということが嬉しいのだろうな。
 そんなことを思いながら、まだ握られている手に引っ張られながら歩いて行く。


「お、霖之助。珍しいな、お前が人里に下りてくるなんて」

 魚屋のおじさんに声をかけられ、足を止める。

「まあ、僕も買い物をしますから
「ほぅ……」

 横目で天子を見て、

「いつの間にか結婚しちゃったんだな! こんちくしょー」

 ばしばしと僕の背中を叩かれる。

「ち、違いますよ。彼女は――」
「言うな言うな。お前が言わずとも俺には分かる」

 分かっていないだろ。その妙に温かい視線は絶対に誤解をしている。

「天子もフォローを入れてくれ」
「いいじゃない。私は別に霖之助のこと嫌いじゃないし」
「おーおー、夫婦円満でいいねー。ほら、こいつは俺からの餞別だ。持って行きな」

 そういって、秋刀魚を二匹袋に入れて、渡される。

「だから、違うと――」
「ありがと! 魚屋のおじさま」
 
 天子はそれを貰い、軽くお辞儀をする。
 それを見て、さらに魚屋のおじさんは調子にのり、

「こりゃ、商店街の皆に祝ってもらうかね」

 言うが否や走って、あっちこっちに言いふらしている。
 ああ、商店街でからかわれるのか。そう思うと気が重くなる。

「夫婦だって。よかったわね、あ・な・た」
「からかわないでくれよ」
「んふふ?。それは出来ないわね」

 やれやれ、こりゃ回るのに苦労しそうだ。


 それからも、回る店全て、からかわれ、餞別品を貰った。
 嬉しい半面で、噂になってしまうのではないかという心配がある。

 文にばれれば記事。霊夢や魔理沙には何を言われることやら……。
 天子は嬉しそうにおじさんやおばさんなどと話をしていた。

 
「すっかり遅くなっちゃった」
 
 空が茜色に染まり、夕日もまた沈みかけていて、夜が近いということを示しているそんな時間だった。
 両手には持ちきれないほどの餞別品がある。

「私と霖之助が夫婦みたいになっちゃったわね」
「ああ、そうだね」

 餞別品を貰うたびにからかわれて、ツッコミを入れていたためいつも以上に疲れが溜まってしまった。

「今日は御馳走ね!」
「勘弁してくれぇ……」


 店に戻ってくると、天子はさっそく調理を始めた。

「ふぅ……」
 
 ドサリといつもの定位置で座り、ため息をつく。
 今日はいつもの比でないくらい疲れた。

「まあ、天子が楽しそうだったから別にいいか」
 
 自分のことより、他人のことを優先してしまう僕は相当のお人よしなのだろうな。悪い気はしないが。
 しかし夫婦、ねぇ。結婚など微塵に考えたこともなかったから、余計に恥ずかしく思えた。
 天子はどう思っていたのだろうか。
 普通に会話をしていたため、まんざらでもない感じに思えたが、ほんとにそうだったのだろうか。
 女性の心はよく分からない。

「細かいことを考えるのはよそう」

 どうせ今日限りだ。
 明日からはまたいつもの日常が戻ってくるさ。


「りんのすけー。出来たよー」
「ああ、すぐ行くよ」

 考えることをやめて、目の前のことをまずは楽しむことにする。
 さて、今日の晩御飯は何かなっと。



 晩御飯も食べ終わり、僕は風呂に入っていた。
 天子に先に入るといいよ、と言ったが天子は片づけがあるからと言って遠慮をしていた。
 いつもの天子では考えれないので僕は不気味に思えてしまう。
 天子は世間知らずでいじっぱり、素直になれないとイメージを持っていた。
 が、今日の出来事を見ていると、どうにも家庭的なイメージしか持てない。
 それはいい方向なのだが、天子の良さがない気がする。

 そりゃ、天子は色々と文句はつけてくるが、たまに素直になるそんなところが僕は好きなのだから、明日からはいつもの天子に戻ってくれることを祈りたい。

 ――ガラガラ
 風呂の出入り口が開く。
 立てつけでも悪くなっていたのかと思っていたら、そこにはタオルを巻いた天子の姿があった。

「な、なっ!」
「背中を流しにきたわよ」

 せ、背中を? いやいや、一緒に入るだなんて僕は小さい頃の魔理沙以外でないのだから恥ずかしさというか恥じらいというものを天子にも感じてもらいたいというかなんて言うか……。

「ほら、霖之助。私が洗ってあげるんだから感謝しなさいよね」
「あ、ああ。すまないね」

 流されるがままに、天子に体を洗ってもらうことにした。

「やっぱり、男の人の背中で大きいわよね」
「そうかい? 自分では分からないよ」
「ううん、大きいわよ。父様と同じくらいに」

 少しばかり湿っぽい感じになる。この空気でこれを言いたくはないのだが……。
 今聞かないと聞きそびれてしまいそうな気がした。

「なあ、天子」
「どこかかゆいところでもあったの?」
「いや、違う。今日の君の行動についてさ。いきなりやってきて朝食を作ってもらって、洗濯や家事などをやってもらって、買い物も一緒に行って、晩御飯を作って貰って、今は風呂で背中を洗って貰っている。どうしてだい? 僕は君にそんなことをしてもらうような覚えはないのだが」
「……」

 天子は黙ってしまう。

「何か理由があるのであれば別に構わない。まあ、理由がなくても僕はありがたいと思っていたから別にいいんだけど、まずは言いたいことがある」
「ん」

 天子の頭を撫でてあげる。

「お礼がまだだったね。今日はありがとう、天子」

 こんなところでいう台詞ではないが、僕は今言いたかった。

「ふ、ふん。今日だけなんだからねっ。明日からは手伝ってあげないんだから!」

 そう、これがいつもの天子だ。
 天子は勢いよく立ちあがろうとしていたので、僕はそれをとめようとタオルを掴んでしまった。
 はらりとタオルが僕の手へと舞い降りる。
 ん? タオル?
 嫌な予感がした。顔を上げてみると、そこには全裸で僕を見下ろしている天子の姿があった。

「……」
「……」

 一瞬の沈黙の後、

「きゃーーーーーー!! 霖之助のエッチィーーー!!」

 バシンバシンの僕の頬に痛みが走る。
 そして、そのまま脱衣所へと駆けていく天子。

「ふ、不可抗力だろ……」

 痛みの余り、意識が遠のいていった。

 
 目を覚ますと、そこのは申し訳なさそうな顔で僕を見ている天子の姿が。

「あ、目が覚めたんだ。よかった」
 
 しょんぼりとした様子で天子がいるものだからまた頭を撫でてやる。

「ふんっ。霖之助が私のはだ、裸を見たのが悪いんだからねっ!」
「あれは不可抗力であって、わざとでは」
「弁解なんて聞きたくもないわ」

 プイッとそっぽを向いて、布団の中へと入っていく天子。
 布団がなぜ一組しかないのか。

「天子?」
「ふん、早く中入りなさいよ」

 ……やれやれ、素直じゃないな。
 さっきまで怒っていたのにね。

「これは僕の布団であって、二人で寝るものではないんだがね」
「細かいことは気にしないの」
「はいはい」

 布団の中に入ると、天子がこちらを向いていた。

「べ、べつにこっち側向いてたほうが寝やすいからなんだからね!」
「分かってるよ」
「その言い方は分かってない」
「ふぅ、なら僕も逆側を向いていたほうが寝やすいからそちらを向くことにするよ」

 ちょっとしたいたずらだ。天子が構って欲しいというのであれば僕はそれに敢えて反応しない。

「ちょ、ちょっと、やだ。霖之助。こっち向いてよー」
「どうしてだい? さっきまで言い争いをしていたんだ。僕としては気まずいのだけどね」
「むー」

 おそらく膨れているのだろう。そんな顔を見たくて僕は天子のほうに顔を向けることにした。
 向けると案の定、天子が膨れ顔でこちらを見ていた。

「ふ、ふんっ。こっち向いたからって何にもないんだからね」
「分かっているよ。ほら、寝るよ」

 天子が少しこちらに近づく。 
 一組しかない布団では密着しないと、どちらかがはみ出してしまう。

「もっと、近づきなさいよ」
「そちらが近づけば早いだろう」

 結果二人とも近づき、密着することではみ出さずにすみそうだ。

「おやすみ、天子」
「おやすみなさい、霖之助」


 そして、僕たちは就寝についたのであった。
 

 こんな一日もありだろう。
 
 
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